フリーランスになるにあたり『村上さんのところ』に学び、実践している(実践したい)ことまとめ
こんにちは。せ部長です。
ところで世の中には村上春樹が苦手な方(作品が苦手、ハルキストが苦手、主人公に共感できない・・・等々)も多いと思いますが、今回はそれとは別に、
“フリーランスで何かをつくって行きたい人に役立つ『村上さん』”
という視点で書いてみようと思います。
フリーでウェブの仕事をやっていこうと決意した今年のはじめ、村上春樹さんの『村上さんのところ』というサイトが開設されていました。
村上さんの長編小説は好きで読むけど、ご本人にさほど興味ない。
だけどはてなのホットエントリでやたら流れてくるのでつられて読んでたらすっかりハマってた・・・。
というのがことの始まりです。
何かをつくったりフリーでやっていく上で、これはとても参考になるのではないか(なぜなら村上さんはジャズ喫茶経営のころからずっと個人でやってこられたから)。
読むうちにそう気づき、途中からブログの下書きにメモしながら結構本気で読んでました。
ということでそのメモと、今朝買ったKindleのコンプリート版を照合しながら印象に残っている部分をピックアップしたいと思います。
1.早寝早起き(規則正しい生活習慣)
生活習慣については『村上さん』にも断片的に出てきますが、この記事を見ると、村上さんのライフサイクルは超シンプルだとわかります。
歴史に名を残す大偉人たちはどのような生活サイクルで暮らしていたのか | BUZZAP!(バザップ!)
他の方の1日はかなり細分されてますが、村上さんの1日は睡眠、仕事、運動、余暇の
4つのフェーズにしか分かれていません。
細分化されてないので仕事に集中できそうだし、しかも午前中に仕事が終わってるとか夢のようです。
会社にも属さず、まだ仕事も受注していない今なら実験できるということで、とりあえず自分たちは4時半起き、21時就寝でやってみることにしました。
『村上さんのところ』では、たとえば、
「心の中で批判や中傷をどうやり過ごすか」
の回答で触れられています。
規則正しく健康的に生活してると人にどう思われようが気にならなくなる、といった回答ですが、早寝早起きにはそんな意外な副産物があるんですね。
(ただ、人それぞれ、自分に合ったライフスタイルがあるので、早寝早起きが絶対正しいとは言えない、というようなこともおっしゃってた気がします)
2.コツコツ継続(時間管理)
『村上さんのところ』では海外のファンからの質問も掲載されていますが、その中に、
「いかにインスピレーションを失わずに書き続けることができるか」
(How could I write without losing inspiration?)
という質問がありました。
それに対し、1日のうち自分が決めた一定の時間、机の前に座り、その間は書く以外のことはしない、それを毎日続ける、といった回答がされてました。
へー、と思ってググってみると、どうやら村上さんはそれを『チャンドラー方式』と呼んでいるようで、こちらの記事に詳しく引用されていました。
たとえば毎日9時なら9時と決め、そこから2時間同じ作業をする。それを毎日続ける。
そしてたとえやる気があっても、2時間経ったらやめる。
やる気があるときには作業に耽るものの、その後息切れして継続しない・・・。
そんな失敗に幾度となく心当たりのある自分としては、とても興味深く、試してみたくなる方法でありました。
3.創造的であるために内面を大切にする
村上さんのように自分の世界だけで勝負できる人、食べていける人はこの世界ではごく少数だろうと思います。
多くの職業は、お客さんのニーズに応えるかたちで成り立っていると思いますが、それでも新しい価値やアイデアが必要になることは多いと思います。
自分たちもウェブでやって行く上でその点が非常に気になるので、なにかヒントはないかと読んでましたが、時々「貯水槽」といった言葉が出てきます。
精神の深い部分にある「貯水槽(貯水池)」から何かを組み上げ、それを作品にしている、といったような表現が回答の中に何度か出てきます。
この辺はとても深い哲学的な話で、簡単に要約できませんが、たぶん自分の経験なりが消化吸収され、エッセンスとなったものがその貯水槽に溜まり、それが作品のみなもとになっているということかなぁと。
ともかく『村上さんのところ』全体を通して読むうちに、そういった内面にあるものを大事にされてるんだなぁということがわかります。
人と関わることで生まれる価値もあれば、人と関わらないことで護られる創造性もあるのかなぁなどと、ふだん人に影響を受けやすい自分としてはとても参考になりました。
4.「徹底的」と「ほどほど」のバランス
これも『村上さん』全体を読むと感じることですが、小説に関しては徹底的で、とても職人的だなぁと思います。
早寝早起きも、ランニングも、食事も、全て良い仕事をするための、自分を小説に特化させるための手段ようです。
だけどそれ以外のことに関しては適度を心がけておられるようで、けっこう「ほどほどにね」といった言葉がよく出てきます。
本気出すところと脱力するところのバランス。メリハリ。
これも仕事を継続するために必須のスキルのような気がしました。
私がフリーランスとして『村上さん』にならいたいと思った点はこんなところでしょうか。
あと仕事観などで印象に残った回答はいくつもあります。
たとえば・・・、
- お客の全員に気に入られなくても、そのうち一人が常連になってくれればいい(作家以前はジャズ喫茶を経営されてたので)
- 人との競争より自分のペースをつかめ
- わかりやすい文章(親切心)を大事にしている
- 文章を書くのに恥ずかしさを覚えるのは自分を超えられてない(本気になれてない?)から
- 組織には向いてなかったけど、独立して成功した人へのねぎらい
- トンカチ仕事(修正を繰り返し精度を上げる作業)の重要性
(以上、『村上さんのところ』から抜粋、意訳)
こうやって読んでみると、職人のような硬派な仕事観で、世間で言われる「やれやれ」のイメージが吹っ飛びました。
あらためて見ると当たり前のことばかりな気がしますが、それを実践したら本当に結果がついてくるのか、これからのフリーランス生活で実験したいと思います。
(2015-08-05の再投稿)